SHS工法を採り入れながら断熱の施工経験を積みZEHを実現

北見市にある岡嶋建設工業（株）は大工を社員として採用し、設計から施工・アフターフォローまで一貫したサービスに定評のある工務店です。住宅新築工事の他、リフォームやリノべーションにも実績があり、SHS工法やZEH（ゼロエネルギーハウス）に取り組み、気密・断熱にこだわった家づくりを展開しています。

同社は岡嶋三郎代表が昭和59年（1984年）、同業会社から独立し大工仲間と二人で設立した会社です。住宅の小さな修繕工事から注文住宅新築まで、民間企業はもとより公共工事にも数多く携わり、地域に密着した会社経営で盤石な経営基盤を築いてきました。

創業当時、特に力を入れていたのは凍結しない「断熱二重煙突」の工事だったと言います。市営住宅の集合煙突が凍結し、死者が出るという悲惨な事故を受け、煙突の解氷工事の経験があった岡嶋社長はその経験を活かし、断熱二重煙突の工事に乗り出しました。煙突は瞬く間に普及し、北見にある市営住宅のほぼ全戸に装備されるまでになります。

また1995年の阪神大震災では被災した兄を見舞い、現地で耐震工事の必要性を実感。
岡嶋社長「本格的な耐震補強工事に取り組むことを決意しました」。
昭和62年（1987年）にコンクリート工事で最先端の技術を持つ太平洋マテリアルと提携。平成20年（2008年）には完全外付耐震補強工法のピタコラム工法を導入。現在では官公庁の建物、学校の校舎、その他の公的建造物における耐震・外壁改修工事では地域ナンバーワンの実績を誇ります。

中でも建物表面の化粧直しだけでなく、コンクリートの劣化を抑制し、建物の耐久性を高めるリフリート工法では地域のオンリーワンで、北見市内にある公共の建造物の全案件を担当するほど。需要は多く、専門知識を持つ3名の技術者が全道各地に赴き、こうした工事の陣頭指揮をとっているそうです。

家づくりについては「住まいは安心・安全でなければならない」と考え、耐震構造はもちろんのこと、平成4年からは北海道SHS会にも参加。「気密・断熱には特にこだわってきた」と岡嶋社長は言います。現在も国が推奨するネット・ゼロ・エネルギー・ハウス（ZEH）を目指し、SHS工法も採り入れながら高性能な家づくりを展開しています。

大工を社員化。新築からアフターフォローまで一貫したサービスを提供

不安定な一人親方の苦労を実際に経験したことのある岡嶋社長にとって、自社大工たちの暮らしぶりは大変気がかりなものでした。日雇いで収入が安定しない、福利厚生・年金など全て自分で賄わなければならないなど厳しい状況にあるからです。

そこで岡嶋社長は大工を社員化し、定年まで責任をもって雇用することにしました。
岡嶋社長「大工の社員化は働く側だけにとどまらず、お客さまへのサービス向上にもつながります。十分な工事品質を確保することが出来ますし、自社大工ならではの現場判断も可能です。現場を訪れるオーナーへの対応も教育により適切で好印象なものになっています」。

現在は７名の自社大工が新築現場からアフターメンテナンス、時にはリフォームの現場まで、自分が施工担当した家を一貫してフォローする体制が整っています。新築時と同じ大工が担当することについては、オーナーから「安心だ」と高い評価をいただいています。

近年は業界的にも大工不足が叫ばれ、職業訓練校も定員割れを起こすなど大工の成り手も少ないことが問題になっていますが、岡嶋建設工業では専門的な学校の卒業生ではなく、全く経験のない若者を採用し、育てるところから始めています。熟練の技を持った年長の大工たちがこうした若者を育てる仕組みづくりも定着しつつあり、今後も継続していきたいと社長は語りました。

同業者と協力し、お客さまに選択肢を広げる機会づくりを

岡嶋建設工業は、2019年も昨年に引き続き合同10社の地元工務店が協力して開催する合同住宅展示場「オホーツクきらりパーク」に参加しています。全棟ともに太陽光発電を組み合わせ、一次エネルギーを75％以上減らしたNearlyZEH（ニアリー・ゼロ・エネルギー・ハウス）です。

最後に岡嶋社長は「同じ住宅性能の建物を見学する中で、お客さまが好みの建物に出会うことができる絶好の機会と考え、参加を続けています」と結びました。