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北海道内で熱交換換気の人気が定着!

2022.09.03家づくりのヒント お知らせ

日本は、2050年までにカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出を実質ゼロにする)を国際的にも約束しました。目標達成には相当な努力が必要になります。住宅部門では、家庭で使うエネルギー消費を最小限に抑え、その消費するエネルギーを太陽光発電などでまかなう家づくり=ZEH(ネットゼロエネルギー住宅)が必要になります。

エネルギー消費を抑えるには、SHS工法のような高断熱化が最優先ですが、さらに暖房の一次エネルギー消費量の削減効果が見込める第1種熱交換換気が評価され、大手ハウスメーカーへの対抗策として熱交換換気を採用するビルダーが一定数あり、着実な支持を得ています

そこで「熱交換換気って何がいいのか?」と、その選び方をまとめました。

熱交換換気とは

熱交換換気のしくみ(パナソニックホームページから)

熱交換換気システムは、室内の汚れた空気を排気するときに捨てられる熱を熱交換素子で回収することで、暖房エネルギーを削減できる換気方式。給気、排気ともファンを使って強制的に換気するため、第1種換気とも呼ばれます。温度変化に使われる熱のみを回収する「顕熱式」と、潜熱と呼ばれる湿気も合わせて回収する「全熱式」の2種類があります。

 

全熱式熱交換のイメージ(日本スティーベルのホームページから)

全熱式は潜熱(湿度)も回収するため、冬場の室内乾燥を和らげることができるメリットがあります。また、蝦夷梅雨のような湿度の高い時期には、外気に含まれている湿気が室内に流入するのを防げるため、ジメジメ感を抑えることもできます。これは、第3種換気や顕熱式熱交換換気にはない特徴です。一方で湿度といっしょに臭いも回収する可能性もあります。そこで、トイレや浴室には個別ファンを設置することが多いです。また、熱交換素子の寿命は比較的短いと言われています。

 

顕熱式熱交換のイメージ(日本スティーベルのホームページから)

顕熱式は、臭いや湿度を回収しないためトイレや浴室も含めて換気できるため、システムがシンプルになるというメリットがあります。さらに、熱交換素子は水洗い可能なものが多く、アルミなど丈夫な素材を使っているので素子の寿命も比較的長いのが特徴です。一番寒い時期には、ダンパーやヒーターを使うことで熱交換素子の凍結を防ぎ、極寒地でも使えるシステムが多くなっています。一方で、冬場の過乾燥や夏の高湿に気をつける必要があります。

 

さらにややこしいのが、セントラル換気のダクト式か個別換気のダクトレスかという問題。ダクトレスタイプは工事が簡単なため、比較的低価格で熱交換換気のメリットが得られ、ツーバイフォー工法のようにダクト配管のスペースが取りにくい住宅でも施工しやすいメリットがあります。さらに各部屋に設置するため、1台が故障しても他の部屋には影響がなく、取替えも比較的簡単です。一方ダクト式は、換気ファンが本体の2個だけなので、メンテナンスが比較的楽です。また、全ての部屋を換気できる大風量のファンを使うため、強風などの気象条件に左右されにくく、各部屋に必要な風量の換気を配分できます。

ダクトレス式の例

 

ダクト式の例。白い本体の上にあるグレーの部分がダクト

 

4割弱の会社が標準採用

この熱交換換気ですが、北海道住宅新聞社の調査によると標準仕様として採用する道内の住宅会社は、ダクト式が25%、ダクトレスが13%で、合計38%。3社に1社以上が採用しています。

最近は、ダクトレスタイプのシェアが増えてきているとか。「気軽に熱交換換気を導入できる点が魅力的だった。ダクト清掃の必要がないという点でもモデルハウスの来場者に勧めやすい」と話す住宅会社もあるそうです。

ダクト式・ダクトレスに限らず、第1種熱交換換気を採用するメリットは、「給気が寒くない」「暖房エネルギーの節約につながる」「全熱型であれば冬季の過乾燥対策にもなる」といったものに加えて、ZEHの要件にもなっている「一次エネルギー消費量を削減しやすい」という点も、代表的なメリットの1つだろう。実際、住宅会社の中にはZEHを目指す中で、要件となっている一次エネルギー消費量20%削減(BEI0.8以下)を達成するために、第1種熱交換換気を採用するところが多い。

 

お掃除がしやすいことが大事

三菱電機の調査結果より

24時間換気は、どの方式でも定期的にフィルターを掃除しないと性能が大幅に低下します。24時間換気システムが付いている住宅に5年以上住んでいる人に対し、三菱電機が今年4月に行った全国調査によると、約6割が「住んでから一度も掃除したことがない」と回答したそうです。ちなみに2年掃除しなかったフィルターを付けた換気ファンは、換気風量が約半分に落ち、運転騒音も約2倍に増えるという結果が出ています。換気風量が半分になれば、室内の空気が十分に入れ替わらず、結露が起こる可能性が高くなります。もし、モーターの音が気になるようでしたら、それはお掃除不足のサインかもしれません。

換気システムの清掃サービスを行っている会社では「お掃除のためにお客様宅を訪問しても、どこに換気システムがついているのか知らないお客様がけっこういらっしゃる。しかも熱交換換気の場合は、熱交換素子の汚れがひどくて清掃できず、素子を交換するしか方法がないという例もある」とメンテナンス不足の現状に警鐘を鳴らしています。

 

フィルターがすぐ外せる製品もある

換気システムの性能を長期間保つには、住んでいる人が定期的に清掃する必要があります。お掃除がしやすく、フィルターなどの部品が入手しやすい換気システムを選んだ方が後悔しません。さらに、

○熱交換素子が水洗いできる

○コントローラーに定期的にお掃除を促すサインが出る

○手の届きやすい位置に換気ファン本体を取付できる

○保守部品が入手しやすい

などをチェックしましょう。最近は、交換用フィルターを通信販売するメーカーも増えてきています。