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北方型住宅ZEROと札幌版次世代住宅基準、共通するのは○○○だった!

2023.03.10カーボンニュートラル 家づくりのヒント お知らせ

今年も2ヶ月以上経ちました。4月からは新年度となり、北海道や札幌市などの自治体では新しい住宅政策が始まります。

新築住宅には太陽光発電の設置が今後求められる

札幌市の札幌版次世代住宅基準は、2012年から続く制度ですが、今年から制度が変わります。これまで独自の性能基準を設定していましたが、わかりやすくするため国が定めた断熱等級に合わせた基準となります。北海道の北方型住宅ZEROは、これまでの北方型住宅2020をベースに北海道らしい環境に優しい住宅を目指した制度内容となります。札幌市の基準も北海道の基準も家を建てる人の義務ではなく、「こういった住宅が増えることを期待している」というものですが、札幌市は補助金を出して推奨しています(北海道は補助金制度はありません)。この2つの制度には、共通点があります。

北海道も札幌市も、新しい独自の省エネ住宅基準で太陽光発電の設置を求めています

それは、どちらも太陽光発電の設置を求めていることです。国が2050年にカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げ、住宅政策も大きく変わりました。カーボンニュートラルを達成するためにはCO2排出量を実質ゼロにする必要があります。住宅では、太陽光発電のようにエネルギーを創ることで自宅で消費したエネルギーと「差し引き0」にすることが必要です。つまり、2050年には住宅すべての平均でZEHにしないと目標が達成できないことになります。

2050年に達成しなければならない“カーボンニュートラル”

カーボンニュートラルのイメージ。CO2排出量を減らすことも大事=つまり、高断熱化が必要です

これまで北海道では、太陽光発電は「冬は雪が多いので発電しない」「雪の重みでパネルが破損する恐れがある」などの理由で設置される割合が全国平均と比べて少なく、普及が難しいと思われていました。東京都では、大手住宅会社に対して太陽光発電の設置を義務化することが決まりましたが、北海道では断熱気密に対してお金もかかりますし、太陽光発電設置でさらに費用が増えるとなると、家を建てる人がさらに減ってしまう可能性があります。

札幌市では、地元工務店が取り組みやすく、CO2排出量を大幅に減らせる住宅として要件を決めた

そういった事情も踏まえ、北海道も札幌市もZEHの実現を早急に求める内容にはなりませんでした。札幌市では、「地元の工務店が、普通のこととしてできるような要件にして、広がっていってほしい」として、低コストで導入できるようにしました。また、北海道も札幌市も『外壁に太陽光発電パネルを設置する』という提案がされています。発電効率は屋根ほどでないにしても、冬場は雪からの反射光も発電に使えるメリットや、雪が積もらないため年中安定した発電ができると注目されています。

札幌市は太陽光発電と蓄電池両方の設置を求める

壁に取り付ける太陽光発電と蓄電池のイメージ(札幌市の資料より)

札幌版次世代住宅基準では、1.5kW以上の太陽光パネルと2kWh以上の蓄電池(ポータブルタイプもOK)を設置することが要件となります。この程度の容量なら設置費用は合計100万円以下で済みそうです。しかも、札幌市では太陽光発電や蓄電池設置に補助金を出しているので自己負担がさらに減ります。

ちなみに、蓄電池容量が2kWhあれば、「LDKにあるテレビや照明、冷蔵庫などを何時間か動かすことができ、停電時に約1日分活用することができる」と札幌市は説明しています。また、この容量であれば市販されているポータブル蓄電池でまかなえるため、普及が期待できると説明しています。

北海道は広い意味で環境に優しい住宅を求めている

北海道が推進する「北方型住宅ZERO」のCO2排出削減イメージ

北海道が推進する北方型住宅ZEROは、太陽光発電や蓄電池だけでなく、地場産材の使用や高断熱化、高効率設備の採用など、CO2排出量を減らすさまざまな取り組みを独自評価して加点し、合計10点以上になれば北方型住宅ZEROとして認定されます。太陽光発電は1kW以下でも加点対象となります。さらに薪ストーブやペレットストーブの利用も加点対象となります。「トータルでCO2排出量を減らせば良いのではないか」という観点で、ZEHというよりも、CO2排出量を大幅に減らした環境に優しい新しいサステナブルな住宅のあり方を提案しています。

北海道では、通風しやすい設計もCO2排出量削減に効果があると評価する

共通しているのは断熱性能の向上

北海道と札幌市は、大容量の太陽光発電を求めない代わりに、大幅な高断熱化を求めている点でも共通しています。省エネ基準レベルの断熱等級4から3ランク上の断熱等級7以上のUA値0.18Wまで性能を上げれば、エネルギー消費が大幅に少なくなり、札幌市の試算では一次エネルギー換算で4割以上減ります。そうすると、省エネ基準ではZEHにするため7kW必要だった太陽光発電が4kW程度で済むことになります。この条件で2kWの太陽光発電を導入すれば、NearlyZEH(省エネ基準の住宅に比べて75%のCO2削減)の達成も見えてきます。

こうしてみると、北海道も札幌市も、積雪寒冷地の事情に配慮しながら、温暖化防止の取組みを進めていることがわかります。断熱性能を大幅に上げれば、暖房費は間違いなく安くなります。1月の光熱費が5万円から10万円に跳ね上がるのと、2万5000円が5万円に跳ね上がるのでは、どちらが辛いですか?

北海道が計画している「北方型住宅ZERO」のモデル住宅展示場。札幌近郊の南幌町に建設する予定

元々の光熱費が半分ならば、2倍に値上がりしても価格差のショックは2分の1で済みます。断熱等級6、7への対応が既にできているSHS工法は、地球に優しいだけでなく、道民のみなさまの暮らしを守る家づくりを行っています。