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壁付けにカーポートも・・・広がる太陽光発電の可能性

2023.07.19カーボンニュートラル 家づくりのヒント お知らせ

電気代は年々高騰している

北海道でも太陽光発電への関心が高まっています。北海道の電力料金単価は全国有数の高さ。6月の値上げ前頃から、生活防衛のために太陽光発電を付けたいという人が増えています。

さらに、国が2050年カーボンニュートラルに向けて、2030年までに新築戸建住宅の6割に太陽光発電を設置するという目標を掲げ、札幌市では今年4月から札幌版次世代住宅基準の住宅に太陽光発電と蓄電池の設置を義務化。北海道も北方型住宅ZEROで太陽光発電の設置を求めました。東京都では2025年4月から大手ハウスメーカー等に設置を義務付けるなど、行政が積極的に推進策をとっています。

しかし、積雪寒冷地の北海道は関心が高まっても、屋根に積もる雪が最大の問題となります。屋根に載せた太陽光パネルに雪が積もれば発電量はほぼゼロになります。こう配屋根や片流れ屋根にして積雪を落ちやすくしようにも、土地不足と地価高騰で狭い土地に建てることが多い札幌市都市部などでは雪を落とすスペースを確保することが困難。最もエネルギーを必要とする冬季に太陽光発電が期待できないというジレンマがあります。

平成30年住宅・土地統計調査の結果から住宅への太陽光発電設置率の分布

国土交通省が発表した2018年住宅・土地統計調査によると、太陽光発電を住宅に設置している割合は、北海道は都道府県別で最低の1.3%。9.4%で設置率1位の佐賀はもちろん、全国平均の4.1%も大きく下回っています。政令都市別では、札幌は0.8%と大阪と並び最下位です。

北海道は設置率で全国最下位

このような状況に対して、積極的に太陽光発電の雪問題を克服しようという動きも出てきています。太陽光パネルを壁に設置したり、こう配屋根からの落雪を防ぐ軒先スノーダクトなどの工夫です。

平らな無落雪屋根に設置する場合は、太陽光を効率よく拾うために角度をつけた架台にパネルを設置します。しかし、架台は金属製のため最近はコストが高騰しており、架台を使わない平置きが主流となっています。この場合、雪がそのままパネルに積もってしまうので冬の発電量は最初からゼロとしてシミュレーションしています。そのため、冬も発電が期待できる壁付け太陽光発電への期待が高まっています。

札幌市内のある住宅会社では、屋根に4.68kW、壁に3.51kWの合計8.19kWの太陽光パネルを設置したモデルハウスを公開しています。

その発電データによると、1月、2月でも1日最大10kWh程度の発電量があります。月間の発電量は1月152kWh、2月184kWh。屋根は雪が積もったままなので、ほぼ100%壁付けパネルからの発電だそうです。これまで数年間の発電データを総合すると、壁面設置の太陽光パネルは、屋根置きに比べて年間を通じて約7割程度の発電量があります。屋根設置のパネルは、札幌なら12月中旬から3月中旬くらいまではほとんど発電が期待できませんが、壁に設置することでその弱点を補うことができます。

壁面設置の注意点

壁に太陽光パネルを設置する場合、屋根置きにはない注意点がいくつかあります。
まず、屋根と違って壁はまわりの建築物・構造物の影がかかりやすくなります。太陽光パネルは少しでも影が入ると発電効率が大幅に低下します。たとえば10枚パネルを設置していて、1枚でも影がかかると連帯責任でも負っているかのように発電量が低下します。場合によっては発電しないことも。特に注意したいのが電線の影。

年間の太陽高度や軌道から、影がかかるかどうかを事前にシミュレーションする必要があります。

さらに、建物が密集した都市部では、パネルからの反射光が周囲にどのような影響を及ぼすかを調べることも必要です。

このような注意点はあるものの、太陽光パネルの壁面設置は今後注目度が高まると思います。

カーポートの屋根で太陽光発電

積雪荷重150cm用であれば、札幌で使うことができる

このほかにも、太陽光パネルを搭載したカーポートも登場しています。車2台用なら、5kW以上の発電が可能で、蓄電池にためて家庭1日分の電力をまかなうこともできます。これからも太陽光発電の技術は進歩します。