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北海道SHS会第35回定期総会で最新の経済理論を学びました

2023.01.27活動報告 お知らせ

全道から43名が集まった

北海道SHS会では1月19日、第35回定期総会を開催しました。去年の定期総会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で1月から6月に延期しましたが、今回は3年ぶりに1月開催となりました。

※以下、壇上で話をする人は、参加者と十分な距離をとった上で、透明なアクリル板越しにマスクを外して話しています※

 

2023年度は支部活動を活発に

首藤会長

首藤一弘会長は、冒頭のあいさつで「建材価格の高騰やコロナ渦、ウクライナ情勢による混乱など予測できない事態が続いているが、本日はSHS工法の新たなマニュアルについて学び、その後札幌学院大学の河西学長に明るくなる経済の話をしていただく。みなさんと共に、たくさんの情報を収集し、われわれの仕事を守ることにつなげたい」と話しました。

続いて2022年度事業経過報告と収支決算報告、2023年度事業計画案と収支予算案が審議され、満場一致で可決されました。今年度の主な事業計画は、現場見学会や研修会を活発に開催するほか、新しい断熱等級6・7に対応した設計・施工マニュアルを整備します。また、販売促進としてホームページの充実とネット広告の活用を推進。さらに、これまでストップしていた支部活動を再開し、支部研修会などを開催する予定です。

市川卓氏

会の最後に特別会員2社が壇上に立ちました。まず「スタイロフォーム」を開発・供給するデュポン・スタイロ(株)から、市川卓営業本部長が「これまで透湿防水シートのタイベックや人造大理石のコーリアンなど、グループ会社の別部門の建材を担当していたが、昨年秋に現在の部署に異動してきた。振り返ってみると、40年前にSHS工法が開発された頃、タイベックが日本で初めて施工された。それが道南の函館だったのが感慨深い」とあいさつしました。

沢田泉氏

次に富士化学工業(株)・沢田泉社長があいさつに立ち、「先週(1月13日)テレビで放送された『ガイアの夜明け』で、最新の断熱・エコ住宅が取り上げられた。それを見て、『いい家を建てたい』と志を同じくするプロユーザーが集まってどれだけ打ち合わせできるかがいい家づくりには大事だと感じた。春からは、新型コロナウイルスがインフルエンザと同じ5類になると言われており、経済活動が活発化すると思う。われわれも支部活動を再開していきましょう」と呼びかけました。

 

SHS工法の新マニュアルを学ぶ

SHS工法マニュアルの研修を行いました

休憩の後、デュポン・スタイロ技術開発本部の森本恵一氏が「SHS工法マニュアルについて」発表。完成間近のマニュアルをわかりやすく説明しました。この工法マニュアルは、SHS工法の成り立ちから説明し、最新の断熱等級6、7に対応した断熱仕様を明記、また施工上の細かな注意点を記すなど、会員がカーボンニュートラルを目指す高断熱住宅が建てやすいように配慮されています。

 

VUCA理論で工務店経営を学ぶ

河西邦人学長

最後に、札幌学院大学の河西邦人学長が「VUCA(ヴーカ)時代の持続可能な経営」と題して講演しました。VUCAとは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、あいまい性(Ambiguity)の4要素の頭文字をとったもの。予測困難な現代の経営指針として最近注目されているそうです。

※参考 https://www.asahi.com/sdgs/article/14663680

上記リンクではVUCA理論の活用について、「変化の兆しをいち早く「察知」し、進むべき方向への道筋を「見いだし」、自社の資源をすばやく「適応」できる」と説明しています。

河西学長はVUCA理論を応用した工務店経営について、「VUCA理論で経営上の問題点をVUCAの4要素で評価し、自社でどう対応するかを考える。優先順位としては、対応しやすい問題から手をつけていくのが良い」

と話しています。

 

工務店経営で重要な4要素

河西学長は工務店経営の方向性について、以下の4つにまとめました。

1.差別化と低コスト化への努力

建材価格や土地の高騰が続く中、他社よりも低コストで家を建てられることが求められています。しかし、安ければそれでいいわけではなく、差別化も必要です。

2.取引価値の最大化

たとえば、家を新築すると欲しくなる家具の販売や、庭を充実させるためのガーデニングショップの運営、あるいは火災保険を建物にかけるときに見直すことの多い生命保険や医療保険の提案を行えば、「いろいろ面倒なことが工務店への相談で済んだ」とお客様に評価されます。

3.コスト上昇に対してコスパを強調する

3年前の住宅と今年建てる住宅が同じ内容で価格が300万円上がったなら「ただ高くなっただけ」となり、お客様の満足度は下がるでしょう。

これに対し、「3年前とは違い、2ランク上の断熱等級6を標準仕様にしました。価格は高くなりましたが、後々光熱費でのお悩みは減りますよ」となれば、「今住んでいる古い家は、月7万円も電気代払っているけど、これなら安心できそう。建物価格は高いけど、それだけの価値があるわね」と評価されるでしょう。

どこかのCMじゃありませんが、「お、値段以上」と感じるような提案をするのです。

4.顧客の生涯価値を最大化する

新築だけでなく、建てた後もお客様と良い関係を築き、住宅のリフォーム、営繕、時には住み替えのお手伝いまですることで、1人の顧客から売上を最大限増やすという考え方です。

 

今回、河西学長のご協力で新しい理論を学ぶことができました。

これを明日からの業務に生かし、これからも地域のみなさまに愛され、必要とされる会員でありたいと思います。

この冬、高断熱・高気密住宅が危ない!光熱費の節約NG行動とは?

2023.01.13暮らし方 家づくりのヒント お知らせ

室内環境を良好に保ちながら光熱費を節約しましょう

光熱費を節約したいのは当然ですが・・・

ウクライナ情勢の悪化や円安などで、エネルギー価格の高騰が止まりません。それどころか、この冬は電力需給が厳しく、国では暖房需要が増加する3月末まで節電要請を実施中。そのため、消費者が節約行動に走る可能性が非常に高い状況です。しかし、全室24時間暖房・24時間換気を前提とするSHS工法のような高断熱・高気密住宅で誤った節約行動が取られた場合、室内環境の悪化を招く原因になります。そこで、高断熱・高気密住宅の住まい方や注意点、光熱費の節約方法などを改めてまとめました。

光熱費が家計に重くのしかかる

 

光熱費は上がる一方

電気・ガス・灯油の値上げが、一般市民の暮らしを直撃しています。国際的に原油やLNG(液化天然ガス)、石炭などの価格が高騰。エネルギーの輸入依存度が高い日本では、円安が進んでこれらの調達コストが押し上げられたことも、エネルギー価格高騰の一因になっています。

この状況は今後も続きそうで、道内では北海道電力(株)がエネとくプランやeタイム3、ドリーム8などのいわゆる“低圧自由料金プラン”で燃料費調整額の上限を廃止しました。これにより、2022年12月の電力料金は6円9銭/kWhも上昇。たとえばZEHやオール電化住宅などで良く使われる「eタイム3」では、2022年11月に夜10時から朝8時までの夜間時間の電力料金単価は、燃料費調整額、再エネ賦課金を合わせると21円74銭/kWhだったのが、12月には27円83銭/kWhになりました。午後1時~6時の午後時間の場合は、47円78銭/kWhから53円87銭/kWhに。とうとう50円超えです。

電気料金が春から値上げ見込み(NHKwebより)

一方、北海道ガス(株)もガス料金の算定で原料費調整に用いる平均原料価格の上限を廃止しました。さらに、北海道電力ではこの春から家庭向け規制料金(従量電灯Bなど)の値上げを国に申請する見込みです。安い電力料金を求め新電力会社で契約した人の中には、北海道電力以上の大幅値上げや電力会社の倒産・廃業によって困惑している人もいます。

政府は来年1~9月にかけて標準的な家庭で光熱費負担を約45000円軽減する総合経済対策を打ち出しました。これにより、電気料金は7円/kWh補助されますが、値上げ幅をすべて吸収しきれそうにありません。

これ以外にも灯油価格は100円/Lを超えるなど、エネルギー価格の高騰は、家計の負担増として重くのしかかりそうです。

間違った節約行動で結露やヒートショックなどの可能性

節約NG行動で結露や室内環境悪化のリスクが

このようにエネルギー価格が上がり続ける中、消費者が電気やガス、灯油を節約することで家計への負担を減らそうとするのは自然な成り行きです。ただ、高断熱・高気密住宅でやってはいけない節約NG行動があります。

具体的には次のような節約NG行動があります。

1.あまり使わない部屋等の暖房を止める、または設定温度を下げる。

2.夜間に暖房用ボイラーの運転を止める。

3.ポータブルストーブで部分間欠暖房を行う。

4.換気システムを止める、または換気量を減らす。

サーモバルブを0に設定すると暖房が止まってしまうのでNG

高断熱・高気密住宅での暖房は、全室全日(24時間)が原則です。使っていない部屋や居室以外の空間の暖房を止めてしまうと、家の中に温度差が発生し、結露が発生したりヒートショックのリスクが出てきます。また、温水パネル式セントラルヒーティングでは、サーモバルブの設定を「0」にしてしまうと、温水がパネルに循環しなくなるので部屋が温まりません。節約で室温を下げるにしても、設定は「3」くらいにとどめるのが無難です。

サーモバルブの設定は絞っても「3」程度にしておくのが無難です

さらに、節約のため就寝時は暖房用ボイラーの電源を切り、運転を止めてしまうケースもありますが、一度建物が冷えると電源を入れて運転を再開した時に室温が上がるまで時間がかかり、結果的にエネルギー効率の悪い使い方となります。24時間連続運転は止めずに、寝るときにボイラーの温度を少し下げる方が燃料費が安くて快適さも損なわず、お勧めです。

電気ストーブやポータブル石油ストーブは高断熱・高気密住宅ではおすすめしません

このほか、セントラルヒーティングより個別暖房のほうが節約になると考えて、ポータブルストーブやファンヒーターなどを使う人もいますが、気密性が高い住宅で開放型のポータブルストーブなどを使うと、一酸化炭素濃度やVOC濃度の上昇、結露発生などの恐れがあります。また、電気ストーブはエアコンと違ってエネルギー効率がかなり悪いため、節約どころか割高につきます。脱衣室やトイレなど狭く区切られた場所の補助暖房にとどめましょう。

古い電気パネルヒーターや蓄熱暖房機を使っている人なら、寒冷地向け暖冷房エアコンに取り替えるという手もあります。

冬季の換気停止は厳禁

結露や室内空気環境悪化につながるため、24時間換気のスイッチは常にオンにしましょう

換気システムは、ふだんはその効果に気付くことが少なく、24時間ずっと動きっ放しのため、ついつい節約のために運転を止めたくなります。しかし、高断熱・高気密住宅で換気システムの運転を止めてしまうと、結露が起こる可能性が高くなるだけでなく、建材や家具から放散される有害物質(VOC室内濃度)が上昇したり、不快な臭いがこもったりして、健康に悪影響を及ぼすことも考えられます。特にコロナ禍では十分な換気が大切と言われているだけに、冬季の運転停止はNGです。

このほか、給湯機器の使い方も光熱費に大きくかかわってきます。これは節約の余地があります。1.節水型機器を採用する、2.給湯機を節電モードや省エネ・ひかえめ設定、給湯量セレクト(分あたりの給湯量設定)などで使用する、3.数日間家を空ける場合は沸き上げ休止設定を行う―など。

北方型住宅ZEROでは、3割以上の省エネ効果がある

こうした大変な状況でも、北方型住宅ZEROや札幌版次世代住宅基準のスタンダードレベル以上の性能を持った高断熱・高気密住宅では、従来の高断熱住宅に比べてかなり暖房費を節約することができます。建てる時に少々コストアップになったとしても、電気、ガス、灯油の料金単価が上がれば上がるほど、暖房費の安さがはっきりしてきます。これから家を建てるなら、お近くの北海道SHS会の会員工務店にまずはご相談ください。