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「こどもみらい住宅支援事業」が「こどもエコすまい支援事業」にパワーアップ

2022.11.26カーボンニュートラル 家づくりのヒント お知らせ

さあ、サッカーワールドカップが始まりましたね。ドイツを破った日本チームにテレビから熱い声援を送った人も多かったと思います。

このワールドカップが始まる2週間前、日本では11月8日に重要な閣議決定が行われました。国土交通省(国交省)、経済産業省(経産省)、環境省の3省が協力して行う住宅の省エネ化、高断熱化を推進する補助事業です。

3事業の概要

国交省・経産省・環境省の新たな補助事業は、補助対象範囲が重複しなければ併用可能で、併用する場合は交付申請等が1箇所で済む“ワンストップ対応”を実施します。

各事業とも11月8日以降に契約を行い、各事業の事業者登録が行われた後、2023年12月31日までに着工・工事着手した住宅が対象となります。事業者登録は、工務店やリフォーム店などが行う必要がありますが、既に「子どもみらい住宅支援事業」の登録業者となっていれば、新たに登録を行う必要はありません。事務局が開設された後にすぐ着工・工事着手が可能になります。

交付申請を行うタイミングは各事業によって異なりますが、申請期間は来年(2023年)3月下旬~12月31日を予定しています。新築・リフォームは着工後に交付申請予約(3月下旬~11月30日予定)を行って、補助金を一定期間確保しておくこともできます。各事業とも交付申請は住宅会社等が行い、補助金は全額申請した建主(もしくはリフォームの依頼者)に還元します。

それでは、各事業についてご紹介します。

(1)こどもエコすまい支援事業

国交省は、子育て・若者夫婦世帯等を対象に新築で最大100万円、リフォームで同60万円を補助する『こどもエコすまい支援事業』の創設を発表しました。令和4年度(2022年度)第2次補正予算が国会で成立することが前提となります。既に予算枠の4分の3を消化した「こどもみらい住宅支援事業」の内容を少し変えた後継事業となります。これは、高性能住宅の取得や既存住宅の断熱改修を促進してカーボンニュートラルへの道筋をつけながら、エネルギー価格高騰の影響が大変な子育て世帯が暖冷房費を少しでも節約できるように、という国の考えがあります。

国交省の『こどもエコすまい支援事業』は、「こどもみらい住宅支援事業」とほぼ同じ内容で、注文住宅の新築および新築分譲住宅の購入、断熱・省エネリフォームに補助を実施します。条件を満たした新築住宅には一律100万円/戸、リフォームは最大60万円/戸で予算額は1500億円を予定しています。これはこどもみらい住宅支援事業に比べてかなりの増額です。

注文住宅の新築および新築分譲住宅の購入は、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい世帯として、「18歳未満の子供がいる子育て世帯」または「夫婦いずれかが今年4月1日時点で39歳以下の若者夫婦世帯」のみが対象です。リフォームはすべての世帯が対象となりますが、子育て・若者夫婦世帯は補助額の上限を引き上げて優遇します。

注文住宅および分譲住宅の新築・購入での性能要件は、ZEHレベルの断熱・省エネ性能を確保していることです。「ZEH」ではなく「ZEHレベルの断熱・省エネ性能」と書いてあるところが重要です。つまり、太陽光発電など再生可能エネルギーが装備されてなくても補助金がもらえるのです。

「ZEHレベルの断熱・省エネ性能」とは、断熱性能が北海道でUA値0.40W(断熱等級5)など“ZEH強化外皮基準”に適合、一次エネルギー消費量が省エネ基準比で20%以上削減(BEI0.8以下)することです。これは、ZEHやNearly ZEH、ZEH Orientedのほか、今年10月に改正基準が施行された長期優良住宅、低炭素建築物、性能向上計画認定住宅も当てはまります。国が2025年度までに義務化しようとしている省エネ基準よりもワンランク上の性能レベルを求めています。

(2)省エネリフォームへの補助事業が増える

リフォームに対する補助事業が今回増えました。

まず、国交省の「こどもエコすまい支援事業」についてご紹介します。

1.一定以上の断熱性能を満たす開口部の断熱改修 2.一定量以上の断熱材を使用する外壁・屋根・天井・床の断熱改修 3.太陽熱利用システムや高効率給湯機(たとえばエコキュートなど)、節湯水栓などエコ住宅設備の設置―のいずれかが必要です。さらにビルトイン食洗機や宅配ボックス設置などの子育て対応改修、防災性向上の改修や手すり設置などのバリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置、リフォーム瑕疵保険への加入も補助の対象となります。最大補助額は30万円/戸ですが、「安心R住宅」を購入しリフォームする場合は45万円/戸に増額されます。これが子育て・若者夫婦世帯であれば最大補助額が45万円/戸に、既存住宅を購入してリフォームする場合は60万円/戸と増額されます。

(3)高断熱窓改修・高効率給湯機導入で最大200万円の補助も

なお、経産省・環境省の『住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等』『高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金』で省エネ改修を行った上で『こどもエコすまい支援事業』も申し込む場合は、子育て対応改修やバリアフリー改修などだけでも補助対象になります。「中古住宅を買って暖かくして住みたい」と考えていた子育て世代には、補助金額が増えるとても嬉しいニュースです。高断熱窓への取替工事を含むリフォームでは、260万円の補助金がもらうことも可能です。

『住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等』は、戸建住宅(集合住宅も可能)で窓の熱貫流率=Uw値を1.9W以下とする開口部改修に最大200万円/戸の補助を行います。予算額は1000億円を予定しています。

補助額は改修する窓の数や大きさ、改修方法、改修後の性能値によって異なります。同じ住宅で複数回申請することも可能です。

最後に、高効率給湯器の導入を対象とする『高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金』を紹介します。予算額は300億円で、補助額はエコキュート、あるいはヒートポンプ給湯器とガス温水機器を組み合わせたハイブリッド給湯機に5万円/台、エネファームなど家庭用燃料電池に15万円/台。

なお、これらの補助事業は今後行われる国会での2022年度補正予算成立が前提となっているほか、内容については今後修正・変更が行われる可能性もありますので、ご利用の前には最新の情報をチェックしましょう。

 

【参考ホームページ】

こどもエコすまい支援事業

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000215.html

住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等

https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/building_insulation/window.html

高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金

https://www.meti.go.jp/press/2022/11/20221108001/20221108001.html