住宅内のコロナ感染対策に換気はどれほど有効か?
2020.12.04新型コロナ感染第3波が押し寄せている
第3波と言われる新型コロナウイルスの感染拡大が全国規模で広がり、なかでも北海道は連日感染者数が200人を超え、10万人あたりの感染者数は30人前後と全国最悪レベルです。「換気が重要」と言われるようになり、これから家を建てる人は住宅の換気について気になる人が多いと思います。
しかし、真冬日が続く冬の北海道では、積極的に換気をするために窓を開けることは現実的な話ではありません。たとえば旅客機の中では1時間あたり20回というものすごい量の換気を行っていますが、住宅は法律上1時間あたり0.5回で十分ですし、それでシックハウス症候群などの問題も解消できることがわかっています。
家族が集まる時は換気の量を増やすこと
北海道大学大学院工学研究院の林基哉教授によると、感染防止のため必要な換気量について、厚生労働省では機械換気で1人あたり30m3/時、窓開け換気の場合は換気回数2回/時以上(30分に1回以上、数分間程度、窓を全開する)としていますが、確実に感染が防げることを裏付けるデータは今のところないということです。それでも、感染リスクを減らすことは確かだと思います。
すでに外気温が下がっている北海道の冬に、寒さや雪の吹き込みを我慢して窓を開けるのは、けっこう無茶ですよね。天候や室温とのバランスを考えながら無理のない範囲で行うのがいいと思います。
住宅の場合、家族がそろう食事の時間や来客時など感染リスクが高くなる時と、そうでない時があります。そこで、ふだんの生活ではセントラル換気システムを24時間運転して0.5回/時の換気量を確保することで十分。感染リスクが高い時に窓を開けるなどして換気量を増やす、というのがコロナ予防の基本的な考え方です。
では窓を開けずに、一時的に換気量を増やす方法はあるのでしょうか?ひとつには、1.0回/時の換気能力を持つ高性能なセントラル換気を採用する方法があります。一般的には住宅の床面積はだいたい40坪(132m2)以下になると思いますので、1.0回/時以上の能力がある換気システムは、カタログや商品情報サイトに書いてある対応する住宅面積が80坪以上あるハイパワーな製品を選べば良いことになります。
最近では、CO2濃度の上昇に応じて自動運転するレンジフードも発売されました。これなら、食事時に密になりやすいダイニング回りの空気汚染状況を自動的に感知して動くので安心です。
さらに、少し予算を足せばセントラル換気以外にリビングダイニングに“局所換気”を設置する方法があります。「3密回避型換気」とでも名づけていいかもしれません。たとえば、一定時間ごとに給気と排気が切り替わる熱交換型換気設備、俗に言われるダクトレス換気でしょう。換気量を増やしても、熱交換換気の機能の1つである室温低下を抑える効果が期待できるので、寒い北海道の冬に我慢を強いられる心配が減ります。
隔離室は個別換気
さて、感染者の急増により、札幌では感染がわかっても自宅待機せざるを得ない人が増えました。自宅待機の場合の配慮は何ができるのでしょうか。林教授によると、次のようになります。
住宅の中に1人感染者がいると、家族全員が感染してしまう恐れがあります。
そこで、感染者、または濃厚接触者が住宅にいる場合は、強制排気設備のある個室で過ごしてもらうことになります。強制排気設備がない場合は、浴室・トイレ用の換気装置を取り付けて室内を陰圧(圧力を他の部屋よりも低くすること)にし、換気を常時運転するというものです。
このほか、乾燥した環境で感染リスクが高まると言われていますが、数値的な確かな根拠はないようです。高湿度での感染例も多いからです。インフルエンザ予防の観点を考えると、当面は湿度40%以上を維持するのが無難ということになります。
北海道SHS会は、高断熱・高気密の技術と全室暖房、24時間換気をセットで導入し、会員はこれまで質の高い家づくりを30年数年続けています。これから家づくりを検討される方は、お近くの北海道SHS会会員工務店にお気軽にご相談ください。
北海道でも基礎断熱住宅にシロアリ?対策はどうする?
2020.11.05シロアリは北海道にもいる!
シロアリというと、暖かい地域で住宅に被害を及ぼすというイメージで、北海道にはいないと思っている人が多いかもしれません。名前はアリですが、実はゴキブリに近い仲間です。
建物を食べるシロアリが国内で主に4種類ある中で、ヤマトシロアリは沖縄、九州、四国、本州と、北海道の道南、道央、一部道北まで幅広く生息しており、道内の住宅もシロアリ被害に遭っています。大地震の際に倒壊した建物を調べてみたら、シロアリの食害被害に遭っていて、柱の強度が落ちていたことも倒壊した原因の1つだったというケースもありました。知らないうちにシロアリがあなたの住宅にも侵入している可能性があるのです。
害虫駆除や防腐工事を専門に行う会社の話によると、札幌市内だけでもシロアリ被害に関する相談が年間数十件あるそうです。相談するところもわからない方や、北海道のシロアリがいないと思い込んでその被害に気づかない人なども含めれば、実際の被害は年間数百件あるという見方もあります。
道内に生息するヤマトシロアリは、九州に住む同種に比べて、寒さに強いという特徴があります。そして基礎断熱の住宅は、床下空間が冬でも氷点下にならないので、一度入り込んでしまうと追い出すのが難しくなります。札幌には駆除会社があり、薬剤をまいたり毒餌を食べさせるなどの方法で駆除しますが、この駆除方法だけで数十万円かかります。さらに建物の柱などに食害があれば、交換費用を別に見積もる必要もあります。
基礎断熱の住宅は、基礎断熱材にシロアリが蟻道(ぎどう)と呼ばれるトンネルを作って土台や柱などの木材に到達しようとするケースが多く、特に注意が必要です。
ちなみに、建築後10年以内にシロアリ被害に遭っても住宅瑕疵(かし)保険は適用されません。なぜなら、瑕疵(かし)保険は建物の耐震性や耐久性にかかわる重大な欠陥に対して適用されるからです。つまり、シロアリ被害への対策は消費者の「自己責任」ということになります。
消費者がガーデニング用に設置した枕木からシロアリが出てきて被害に及ぶ事例もあります。
本物の枕木は、透水性の良い砂利の上に敷かれていますので、雨が降っても比較的乾きやすく、薬剤処理をしていれば10年以上その効果が持続するそうです。しかし、ガーデニングでは湿った土の中に埋められます。そのため、枕木はジメジメした環境となり、シロアリが好みやすいのです。シロアリは枕木を食い尽くしたら、次の餌を求めて移動します。それが住宅本体だったら大変ですね。そもそも、埋めてある枕木を取り出して、再び薬剤処理をするなんて大変です。
大切な住宅をシロアリから守るために
さて、大事な住宅にシロアリを寄せ付けないためにはどうしたらいいのでしょうか?
北海道SHS会に断熱材の開発、供給を行っているデュポン・スタイロ株式会社は、十数年前から防蟻剤入りの基礎断熱材「スタイロフォームAT」を発売しています。
高温多湿でシロアリが生息しやすく、種類も多い沖縄で通常の基礎断熱材と比較実験を行ったところ、設置から十数年経ってもスタイロフォームATにはシロアリが寄りつかず、防蟻剤の効果が実証されました。この防蟻剤は断熱材に含まれており、雨などでも流失せず、また大気中にも飛散しないようにできています。だから長期間防蟻効果が持続するのです。そのため、安全性を気にする方にも積極的にお勧めできます。
メーカーが指定する施工法で万が一シロアリの被害に遭った場合は、保険金が出ます。自信があるからできるのです。
既に標準採用しているSHS会会員も
北海道SHS会では、既にスタイロフォームATを標準採用している会員もいます。通常の基礎断熱材に比べれば高価ですが、シロアリの駆除費用が将来にわたってかからないと考えればむしろ割安。ある会員工務店では、「大手メーカーでもシロアリ被害は発生しているが、恥ずかしいこととして隠している。当社では過去1度だけシロアリの被害に遭ったが、外壁を引き剥がしてシロアリの食害を徹底的に調べ、二度とそのような被害に遭わないようにスタイロフォームATを標準採用することにした」と話しています。
昨年は、会員がスタイロフォームATの勉強会も開きました。沖縄にも行ってその実験の様子も見学しました。
シロアリの被害が心配になる方は、北海道SHS会の会員に一度ご相談ください。
北海道胆振東部地震から2年。住まいに求められる防災・減災対策
2020.10.02写真小:北海道胆振東部地震直後の札幌市清田区里塚地区 写真大:建替えが進む同地区
2018年9月の北海道胆振東部地震から、はやくも2年が経ちました。想定外の地域で大地震が起こったということと、地震被害がほとんどなかった地域までが停電=ブラックアウトの被害に遭ったことで、今後の家づくりについて考えた人も多いと思います。
日本列島ではここ10年の間に大規模な自然災害が毎年のように発生していますが、災害に強い住宅を建てることは生活の大切な基盤と言えます。
東日本大震災では、津波被害が甚大だった(写真は2011年3月25日撮影)
記憶に鮮明なものだけでも、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、道東に甚大な被害をもたらした2016年台風10号、そして2019年台風19号、2020年7月豪雨などがあります。まず東日本大震災では津波による被害が甚大で、東北地方の太平洋沿岸は壊滅的なダメージを受けました。建物の全半壊は、約40万5千戸にのぼり、約1万6千人の命が失われました。道内初の震度7を計測した北海道胆振東部地震では、震源地の厚真町で大規模な土砂崩れが発生。また、札幌市清田区里塚では地盤の液状化で広範囲にわたって住宅が大きく傾くなどの被害が出ました。
昨年の台風19号では、本州の広範囲にわたって河川が氾濫。こうした水害はもはや毎年避けられないものになってきています。
旧耐震基準の住宅などは要注意
このような被害を防ぐ、あるいは軽減するためにはどうすればいいのでしょうか。北海道胆振東部地震で被害を受けた住宅には、いくつかの共通点があります。
まずは、築年数の古さ。築後20年~30年以上経つと、部材は劣化してきます。被害が大きかった建物は、木材の腐朽のほか、シロアリによる食害も確認されています。また新耐震基準がスタートした1981年以前に建築されたものは、耐震性に問題を抱えている可能性が高いと言えます。
そして、壁配置のバランスの悪さ。1階前面が大開口になっている店舗併用住宅などでは、1階が押し潰れたり、歪みや傾きが発生しました。古い住宅の耐震改修が急がれるところです。
ライフラインの確保も課題。住宅が大丈夫でも、電気・ガス・水道や、食料・道路などが確保されなければ、日常生活に戻るのは難しいもの。地震直後に発生したブラックアウトは深刻でした。“もしも冬に起きたら”と想像して、背筋が凍るような思いをした人も多いと思います。
人命と日常生活を守っていくために、大地震に耐えられる構造と、立地に応じた地盤・建物の補強、災害時に最低限のライフラインを確保できる工夫などを考えていく必要があります。
土地情報の把握と耐震・断熱強化が重要
住まいの防災・減災対応の大事なポイントとして、①土地情報の収集・分析②一定水準以上の耐震性・断熱性③ライフラインの確保―などが挙げられます。
地震発生時の最大震度はどれくらいか、液状化の可能性、津波や浸水、土砂災害のリスクを事前に確認する必要があります。特に水害リスクに関しては、今年8月の改正宅建業法施行によって、取り引きする土地・建物が市町村の水害ハザードマップ上にある場合、重要事項として売主が買主に説明することが義務化されました。
これらの土地情報に関しては、各市町村が「防災ハザードマップ」などの名称でホームページ上に公開しているほか、独自にインターネットサービスで提供している地盤調査会社もあります。
地震対策の要とも言える耐震性は、2016年熊本地震のように震度7の揺れが24時間以内に2回あったなど大きな余震があることを考慮すると、耐震等級(倒壊等防止)2を標準にすべきです。そのうえで屋根の積雪荷重を含めた構造設計や制震・耐震部材の採用などを検討します。
地震の揺れを軽減する制震・耐震部材の採用がここ数年目立ってきました。中でも壁の中に設置する制震ダンパーは、施工が比較的容易で数十万円程度のコストアップで済むことから、標準採用する住宅会社も増えてきています。
断熱性能に関しては、冬に暖房が止まっても上に1枚羽織るだけで1週間は室内で快適に過ごせる断熱性能にすべきだという専門家もいます。北海道SHS会でも、そのような超高断熱住宅を建てている会員がたくさんあります。
太陽光や熱源分散でリスク回避
ブラックアウト対策で考えられるのは、①太陽光発電など自立電源の導入②商用電力不要の設備③熱源の分散―などがあります。
太陽光発電は屋根に設置する場合、天候が悪い日や夜間は発電しないため、蓄電池との組み合わせがベストだと思います。
商用電力不要の設備としては例えば薪ストーブがあります。乾電池を使う灯油ポータブルストーブはお手軽ですが、結露や一酸化炭素中毒に注意が必要になります。
熱源分散とは、エネルギーを電気・ガス・灯油のいずれか1つに頼るのではなく、例えば暖房は灯油、給湯はガス、調理その他は電気というように用途ごと熱源を変え、万が一の時に最低1つの熱源は使える可能性を残すリスク分散の考え方です。
今後の家づくりやリフォームのヒントになれば幸いです。
住宅情報サイトで住宅省エネ性能を光熱費換算で表示へ
2020.08.31住宅の省エネ性能を光熱費に換算し、住宅情報提供サイト等で表示する『光熱費換算表示』の導入に向けて、国が動き出しています。早ければ2022年に導入が想定されています。これから家を買い求める消費者にとっても、UA値などの抽象的な数値より比較検討しやすくなることが期待されます。現時点では、注文住宅は対象外ですが、これに刺激を受けて光熱費換算表示を行う工務店が出てくるかもしれません。
光熱費表示をする目的
国土交通省では6月29 日、光熱費換算表示についてさまざまな観点から検討することを目的に、有識者から成る「住宅の省エネ性能の光熱費表示検討委員会」(田辺新一座長、早稲田大学創造理工学部教授)の第1回会合をオンラインで開催。光熱費換算値の算出方法や表示方法などについて国の方針を示しました。
省エネ性能の光熱費換算表示は、すでに注文戸建て・賃貸アパートにまで拡充されたトップランナー制度による住宅の省エネ化を誘導するとともに、一般ユーザーの省エネ性能に対する関心を高め、温室効果ガス削減を目的とした国際パリ協定のCO2 排出量削減目標を達成することが大きな狙いです。昨年には不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が国交省の補助事業を活用し、住宅情報提供サイト上の光熱費換算表示について調査・検討を行うなど、官民が連携して準備を進めてきました。
今回の会合では、事務局の国交省住宅局が、改正建築物省エネ法の概要と同委員会の目的について説明。光熱費換算表示は任意で義務化まではいかないことや、注文住宅ではなく分譲の戸建住宅とマンション、賃貸住宅の新築物件を導入検討対象とすること、住宅情報提供サイト以外の物件広告や、注文住宅における省エネ基準適合可否の説明でも同様の表示を推奨すること、誤った計算結果の表示防止や住宅事業者等の負担軽減のため、国の一次エネルギー消費量計算プログラム計算結果に光熱費換算値を自動表示させる必要があることなど、制度の方向性を示しました。
二次エネ消費量に熱源単価乗じ算出
また、制度の論点として①光熱費換算値の計算方法②光熱費換算値の表示方法③売電分の取扱い④燃料単価の設定⑤燃料単価の改定⑥住宅情報提供サイトの広告画面上の取扱い⑦光熱費換算値の名称―の7項目を提示しました。
このうち、光熱費換算値の計算方法は、建築研究所のWeb プログラムの計算結果シート上で表示される電気・ガス・灯油の設計二次エネルギー消費量(参考値)に各熱源の料金単価を乗じて算出し、表示方法については光熱費換算値のみの表示や、合わせてBELS の★マークを併記する表示などを提案。太陽光発電による売電分の取扱いは、売電量をMJ(メガジュール)で表示、または住宅全体のエネルギー消費量に対する割合を表示する方法を想定しています。
また、燃料単価は電気・ガス・灯油とも統計情報に基づく全国統一単価を設定するか、地域ブロック別の単価を設定するか、2つの方法が考えられています。ただ、地域ブロック別だと単価の安い地域ではエネルギー消費量が多くても他地域より光熱費換算値が安くなるという現象が起こり得るほか、2つの地域で物件を検討する一般ユーザーの混乱を招く可能性も指摘され、全国統一単価とする案が有力です。
早ければ2022年から導入
このほか、住宅情報提供サイトの広告画面上の取扱いについては、光熱費換算値の専用入力項目を設け、換算値は年額表示が基本です。表示位置などは各サイトが最終判断することになるそうです。
同委員会は今年9月7日に第2回、10 月上旬に第3 回の会合を開いた後、10 月中旬頃には各論点などの検討結果を取りまとめる予定です。住宅情報提供サイトでの光熱費換算表示は、早ければ分譲マンションで2022 年1月頃、分譲戸建住宅で同年4月頃、賃貸住宅で同年10 月頃の導入を見込んでいます。
札幌の新築住宅は5軒に1軒が「札幌版次世代基準のスタンダード」以上
2020.07.28札幌市内の新築戸建住宅の5軒に1軒は、札幌版次世代基準スタンダードレベル以上の断熱性能一。札幌市がこのほど公表した「札幌版次世代住宅に係るアンケート調査結果」によると、2018年度に札幌市内で新築された住宅の断熱性能は、ZEH基準となるUA値0.40W以下が55%ち過半数を占め、今年度の市の補助対象となるスタンダードレベル(0.28W以下)以上の住宅は、20.3%と全体の1/5に達していることがわかりました。
新築住宅の断熱性能はやや低下傾向
このアンケート調査は、2018年度に①札幌市内戸建住宅の確認申請を5棟以上申請②札幌版次世代住宅性能評価を申請③札幌市内の事業者でZEHビルダーに登録・公開一のいずれかに該当する住宅会社を対象に実施。前年とほぼ同じ48社が回答しました。
回答した会社が建てた戸建住宅の断熱性能をランク別にみると、国の省エネ基準相当となる札幌版次世代世代基準のミニマムレベル(UA値0.46W以下)が33%と最も多く、続いてベーシックモデル(同0.36W以下)が23%、補助金の対象となるスタンダードレベル(同0.22W 以下)は合わせて0.4%と、ごくわずかでした。集計から、全体の12%は国の省エネ基準をクリアしていないことになります。
前年度調査と比べて、スタンダードレベルが11ポイントもダウンとなった一方、ベーシックレベルが逆に11ポイントアップとなっています。札幌市では「(断熱性能が)スタンダードレベルとベーシックレベルの間に落ち着いてると考えられる」と話しています。「今の住宅は冬は暖かくて光熱費が安いのが当たり前」と思っている方も多いと思いますが、そうとは限らないということです。
また、標準仕様とするUA値は、最も多いのがベーシックレベルで31%。次いでミニレベルが23%、スタンダードレベルが15%、ハイレベルが4%、未設定が17%など。トップランナーやミニマムレベル以下の性能を標準とする会社はゼロでした。前年とも比較では、スタンダードレベルが12ポイントダウンと大きく減り、その分、ベーシックレベルが10ポイントアップと増えたのが目に付きます。実際に建てた住宅と性能分布が違うのは、予算に合わせて性能をダウングレードしたのかもしれません。
気密測定を行っている会社は3軒に2軒
気密性能=C値は0.5㎝2/㎡が38%で前年比3ポイントダウン、1.0㎝2以下が27%で同比2ポイントアップ、未測定が35%で同比1ポイントアップ、未測定が35%で同比1ポイントアップとなり、気密測定を行っている会社は前年同様65%ち、ほぼ3軒に2軒の割合。
標準仕様とするC値は、0.5㎝2以下が前年比5ポイントアップの44%。同比13ポイントダウンで35%の1.0㎝2を上回りました。他に未設定が同比6ポイントアップの19%など。
今後標準にしたいのはスタンダードレベル
今後標準にしたいUA値は、前年と同じくスタンダードが最も多いが、その割合は35%で前年比8ポイントのダウン。続いてベーシックレベルが21%、ハイレベルとミニマムレベルがそれぞれ10%など。前年はスタンダードレベル以上が58%と過半数を占めていましたが、2018年度は12ポイントダウンの46%になり、標準の断熱性能をベーシックレベル以下に抑える会社が多くなってきました。 同じく今後標準にしたいC値は、0.5㎝2以下が前年比3ポイントダウンの71%で、1.0㎝2以下が19%、未設定が8%など。
なお、ベーシックレベル以上の高断熱住宅をどのくらいのユーザーが希望するかは、「ほとんど希望」が44%、「希望しない」が21%、「半数程度」と「3割程度」が各13%、「7割程度」が10%という結果に。前年は設問内容が多少異なるものの、ベーシックレベル以上の高断熱住宅を希望するユーザーの割合は51%でした。
<用語解説>
札幌版次世代住宅基準
参照:https://www.city.sapporo.jp/toshi/jutaku/10shien/zisedai/zisedai.html
札幌のような寒い地域では、東京や大阪などよりも住宅で暖房に使うエネルギーが多いので、地球温暖化防止のために国の省エネ基準よりも厳しい独自の省エネ基準を作り、クリアした住宅に補助金をだすことで、普及させようとしています。この制度は全国から注目されており、道内の住宅の高断熱化に大きな影響を与えています。
UA値
外皮平均熱貫流率のこと。住宅の断熱性能を表す数値として使われ、数値が小さいほど高性能(高断熱)です。国の省エネ基準では、札幌や旭川、帯広ではUA値=0.46W以下と定められていますが、札幌市独自の札幌版次世代住宅基準では、標準とする「スタンダード」基準で0.28Wと4割近く高断熱にしなければなりません。さらに、暖房や換気に関する厳しいエネルギー基準もあり、これらをクリアするのは大変ですが、SHS工法では比較的簡単にクリアする事ができます。
C値
相当隙間面積のこと。1m2あたり何平方cm2の隙間が空いているのかを表します。気密性能を表す数値で、少ないほど高性能(高気密)です。UA値がいくら良くても、住宅に隙間が大きければそこから熱が逃げてしまい、暖房効率が落ちてしまいます。札幌市は、スタンダードレベル以上ではC値0.5㎝2以下を求めています。外張り断熱のSHS工法では、気密層が連続するため気密性能を向上させることが比較的簡単で、0.5㎝2/m2以下を達成している会員工務店様が多数あります。
ネコと人が楽しく便利に暮らせる家づくり!
2020.06.26ネコは、今や犬よりも飼育数が多いと言われるほどの人気者。犬は外で飼う人も多くいますが、ほとんどのネコは室内飼いのため、家を建てる際にはネコが安全にストレスを溜めない暮らしができる工夫が必要です。
ネコ専用通路、「キャットウォーク」の設置は、高いところを好むネコの習性を利用しています。これまではお客様の依頼に応じて住宅会社が設計図面を描いて大工さんの手作りということが大半でした。
「もっと手軽に、新築でもリフォームでもネコと人とが快適に住めるお部屋を」と開発されたのが、大建工業のネコ向け建材。8月21日に発売されます。今回発売するのは、「ねこルート」「ねこボックス」「ねこシェルフ」「ミセル ねこ対応カウンター」「ねこゲート」の5種類。いずれも猫が通る部分の棚板表面に滑りにくい素材を採用しています。
「ねこルート」は、壁付けで設置できるカウンター方式のねこ専用通路。安全性に十分配慮しながら、通路の奥行を猫同士がすれ違える25㎝幅に抑えました。「ねこボックス」は、ねこルートでの移動途中の休憩場所になるもの。顔を出して部屋の様子をうかがえるよう設けたのぞき窓は、猫が顎を乗せやすい位置に設計しています。
「ねこシェルフ」は、人が暮らすための収納スペースと猫の通り道や隠れ家を兼用できる、棚型のシステム収納です。猫がシェルフ内を自由に移動することが可能で、さらに方立(垂直に設けた仕切り壁)の裏側から中に入れる扉付きのユニットを選べば、猫が身を隠してリラックスできる空間にもなります。
「ミセル ねこ対応カウンター」は、同社のシステム収納「ミセル」シリーズに滑りに配慮した表面シートを採用したカウンターを追加したもの。システム収納の上部を猫の通り道にでき、ねこルートやねこステップ等と組み合わせて、より楽しい通り道を作ることが可能です。
「ねこゲート」は、玄関前の廊下等に設置することで、玄関ドアを開けた際に、不意に猫が屋外へ飛び出すことを防止し、猫の安全を守る室内ゲート。扉の表面にはお手入れしやすくキズに強い特殊強化化粧シートを採用しています。
それにしても、ネコのためにこんなに建材の種類があるなんてびっくりです。北海道SHSの暖かいお家に使ったら、イライラして爪を立てることもなく、ネコが穏やかに楽しく暮らせそうですね。
エアコンにも寒冷地仕様があること知ってますか?
2020.05.28 新車を買うとき、ディーラーから出された見積の欄に「寒冷地仕様」という追加項目を良く見かけます。寒さの厳しい北海道では、内地向けの標準仕様では真冬になると車にトラブルが起こる可能性があるため、冬の寒さ対策としてバッテリーを大型にしたり、ドアミラーにヒーターを入れるなどの仕様変更を行うのが一般的だからです。
一方、住宅に使う冷暖房エアコンの場合は、車のようなちょっとした変更では北海道の厳しい寒さに対応できません。そこで電機メーカーは、「寒冷地向けエアコン」を十数年前に開発しました。近年、その性能向上はめざましいものがあります。最近はどの電気屋さんに行っても寒冷地向けエアコンが大々的に展示されるようになりました。毎年秋から冬にかけて寒冷地向けエアコンのテレビCMも良く見かけます。寒冷地仕様のエアコンと今までのエアコンは何が違うのでしょうか?
北海道住宅新聞5月15日号によると、寒冷地向けエアコンは、外気温が-15℃でも暖房能力を十分発揮できる機種があり、-25℃でも暖房運転を継続する高い暖房能力があるそうです。さらに各種センサーで暖房すべき場所を自動的に判断し、床面に向かう気流で頭寒足熱を実現し、床暖房のような温熱環境も実現可能なんだとか。暖房能力が高いので、LDKのセントラルヒーティングのパネル枚数を減らすことができ、家具の配置がより自由になります。パネル枚数が減少する分、暖房の工事費が少し安くなるので、寒冷地向けエアコンを設置する費用の一部に充てられますね。もちろん、寒冷地向けエアコンは夏の冷房も快適に使えるので、最高気温が35度前後まで上がることもある道内の厳しい夏にも対応できます。
さらに、寒冷地向けエアコンは温風吹き出し口の温度が高く、すぐに部屋を暖められます。セントラルヒーティングだけを使う場合、寝る前や外出時に送水温度を下げると、起床時や帰宅時に送水温度を上げても設定室温になるまで時間がかかります。寒冷地向けエアコンを併用してタイマー機能を使えばこの悩みは改善できます。
このほか、エアコン暖房は熱源に直接触れる心配がないので、小さなお子様、お年寄りやペットのいる家庭にも安心です。
寒冷地向けエアコンが普及してきた背景には、住宅の断熱・気密性能が向上してきたことが大きいです。北海道SHS会では、国の省エネ基準を大きく上回る高性能住宅を建てています。寒冷地向けエアコンの性能もフルに発揮でき、相性が良いのです。
「北方型住宅2020」新設‼ 札幌は補助大幅変更
2020.04.06道が今年度から始める『北方型住宅2020』とは
【空知・南幌町のきた住まいるヴィレッジ。北方型住宅2020は同ヴィレッジの全道展開などを通して普及が進められる予定】
今年3月、北海道のブランド住宅である北方型住宅の基準と、札幌市独自の高断熱・省エネ住宅である札幌版次世代住宅の補助制度に大きな動きがありました。
道の北方型住宅基準では、北方型住宅・北方型住宅ECOの断熱性能と一次エネルギー消費量、耐震性能の基準を強化し北方型住宅の新基準『北方型住宅2020』を新設。北海道が目指すべき、新たな住宅のブランド・目標像として本格的な普及を開始しました。
性能面では、断熱性能=UA値が0.34W以下(北方型ECOは0.38W以下)、一次エネルギー消費量が省エネ基準比20%削減(同省エネ基準以下)、耐震性能が耐震等級2(同等級1)が必須。相当隙間面積=C値1.0cm2の気密性能や、劣化対策、維持管理対策など他の必須基準は北方型住宅ECOから変わらず、BIS有資格者による設計・施工や、きた住まいるサポートシステムへの履歴情報保管も、これまでと同様に行います。
また、推奨基準に追加された“自然災害への対応”は、冬季の自宅避難のため暖房が運転できなくても一定の室温が確保できることや、避難経路の確保、落下物の防止に配慮することなど。“地域の活性化”では市町村の住宅施策に適合するよう配慮することなどを求めています。
道は7月をメドにきた住まいるサポートシステムでの登録・保管を開始する予定です。
札幌版次世代住宅の補助金は住宅完成後に申請
一方、札幌市が独自に定めた「札幌版次世代住宅基準」は、補助制度の仕組みが大幅に変更されました。
今年度からは、工事着手前の「仮申請」と「工事着工時期の制限」がなくなる代わりに、補助金を申請する前に工事を完了し、札幌版次世代住宅基準に適合していることを示すことが必要になりました。補助金の交付申請受付は、第1回が2021年1月6日(水)から1月29日(金)まで。第2回を実施する場合は同年2月3日(水)から2月17日(水)まで。申請は性能レベルに関係なく受け付け、補助金額を総合計し、その額が予算額を上回った場合に抽選を実施します。そのため、抽選となった場合は2回目の申請受付は実施しません。
1戸あたりの補助額は、トップランナーが160万円、ハイレベルが110万円、スタンダードレベルが50万円で、前年度より30~40万円減額されました。ベーシックレベルは補助対象外になりました。
消費税率10%で役立つ、住宅取得の支援策
2019.11.21消費税率10%の影響―負担増は住宅2000万円で40万円
2019年10月から消費税が10%に引き上げられました。消費税率の引上げは、5%から8%になった2014年4月以来で、5年6ヵ月ぶりのことです。
その影響は高額な買い物ほど大きく、2000万円の住宅を取得しようとすると40万円もの負担増になります。ただ、住宅購入については増税後のほうがオトクになるいろいろな支援策が用意されました。むしろ今がチャンスかもしれません。
今回は、税率引上げ後に住宅を安心して取得できるように、少しでも増税負担が軽減される、現在利用可能な住宅取得の支援策などを5つ紹介します。
支援策1:すまい給付金―収入に応じ最大50万円を給付
消費税率10%で住宅を取得した場合に適用される国の支援策として、まず利用したいのが「すまい給付金」です。消費税率8%の時から行われていますが、10%になってからは最大給付額が50万円となり、給付条件となる収入の金額も510万円以下から775万円以下に引き上げられました。入居後すぐに申請が可能で、約1.5〜2ヵ月で現金が振り込まれるという、即効性がある支援策で、各種補助金との併用も可能です。
対象条件
・新築住宅または中古住宅(個人間売買除く)を取得した人が対象で、2021年12月末までに引き渡し・入居が完了していること
・ローンの償還期間が5年以上であることに加え、新築であれば床面積50㎡以上、かつ瑕疵担保保険への加入や、性能表示制度の利用による施工中の検査を受けて、一定の品質が確認された住宅であること
都道府県民税の所得割額と持分割合に応じて、10万〜50万円を受け取ることができる制度で、申請期間は住宅引き渡し後1年以内(当面の間は1年3ヵ月以内に延長)。自己資金のみで新築・購入した場合でも、①50歳以上で収入額の目安が650万円以下②フラット35Sの基準に適合―という追加要件を満たせば対象になります。詳しくは下記「すまい給付金」の案内をご覧ください。
http://sumai-kyufu.jp
支援策2:住宅ローン減税―所得税の控除期間を13年に延長
年収3000万円以下でローンを組んで、新築住宅・中古住宅を取得した人とリフォームを行った人を対象とする「住宅ローン減税」も、減税内容が広がりました。
消費税率8%時は、ローン残高の1.0%を最大10年間にわたって所得税から控除(控除対象となる借入限度額は一般の住宅で4000万円、長期優良住宅と認定低炭素住宅で5000万円)でした。
同10%時は、控除期間を13年間に延長して、最後の3年間は年末のローン残高の1%または住宅購入価格の2%の1/3のいずれか小さい額を控除します。
※ただし、控除期間の延長は2020年12月末まで入居した場合のみ。住宅ローン減税自体は2021年12月末入居までが対象なのでご注意ください。
ローン減税の最大控除額より払っている所得税が少ないケースでは、所得税から控除し切れない分は住民税から最大13万6500円が控除されます。
対象条件
・床面積が50m2以上、借入金の償還期間が10年以上であることに加え、中古住宅は築20年以内(耐火建築物は築25年以内)または新耐震基準に適合していること、リフォームは工事費100万円以上の大規模修繕や模様替え、耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修など
申請は入居翌年の確定申告時に税務署へ必要書類を提出します。ただ、省エネ改修やバリアフリー改修は、住宅ローン減税とは別のローン型減税が用意されていて、そちらのほうがおトクになる場合も。自己資金のみで行う長期優良住宅・認定低炭素住宅の新築や、耐震・省エネ・バリアフリー改修を対象とした、減税措置(投資型減税)もありますので、どちらがお得になるか計算して申請するのがオススメです。詳しくは下記「住宅ローン減税」の案内をご覧ください。
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/
支援策 3:次世代住宅ポイント―新築で最大35万円相当
家事負担を軽減できる設備の設置にもポイント発行(事務局に登録された型番の製品のみ)
一定の性能を持った住宅を消費税率10%で新築・購入・リフォームした人に、さまざまな商品等と交換できるポイントを発行する「次世代住宅ポイント」が、今年6月にスタート。商品交換の申し込みも始まっています。
住宅の新築・購入の対象条件
①断熱等性能等級4または一次エネルギー消費等級4以上(いずれも省エネ基準相当)
②劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上
③耐震等級(倒壊等防止、以下同)2以上または免震建築物
④高齢者等配慮対策等級3以上
⑤耐震性のない住宅の建替
⑥家事負担を軽減する設備設置
リフォームの対象条件
①断熱改修
②高効率給湯機や節水型トイレなどエコ住宅設備の設置
③バリアフリー改修
④耐震改修
⑤家事負担を軽減する設備設置
⑥瑕疵保険への加入
⑦インスペクション(住宅診断)の実施
⑧若者(40歳未満)または18歳未満の子どもがいる子育て世帯が既存住宅を購入して税込100万円以上の工事を実施
最大発行ポイント数は30万ポイントを基本として、安心R住宅を購入してのリフォームと若者・子育て世帯のリフォーム(既存住宅購入なし)は45万ポイント、さらに若者・子育て世帯が既存住宅を購入してのリフォームは60万ポイントまで引き上げられます。
ポイント発行申請は、工事請負契約後(リフォームは工事金額1000万円超に限る)から申請可能で、工事完了前にポイント発行を受けた場合には完了報告の提出が必要です。申請期限は予算の消化状況に応じて公表されることとなっていて、遅くとも来年3月末までには締切られる予定です。
すまい給付金や、住宅ローン減税を始めとする税制優遇措置との併用は可能ですが、新築の場合は、地域型住宅グリーン化事業やZEHの補助事業など住宅本体工事を対象とする国の他の補助制度は併用不可となっています。リフォームについては、ポイント発行対象工事と、他の補助制度の対象工事の請負契約が別々であれば併用できます。国の予算が使われていない地方公共団体の補助制度も併用可能です。詳しくは下記「次世代住宅ポイント」の案内をご覧ください。
https://www.jisedai-points.jp
支援策 4:贈与税 非課税枠拡大―良質な住宅で最大3000万円まで
父母や祖父母などの直系親族から、住宅の新築・購入・増改築のための資金贈与を受けた場合に、贈与税が一定額まで非課税となる「住宅取得資金等に係る贈与税の非課税措置」も拡充されました。
2019年4月から20年3月までに新築などを契約して、消費税率10%が適用される場合の非課税枠は、一般の住宅で700万円から2500万円、省エネ基準に適合する住宅や耐震等級2以上の住宅など一定の良質な住宅で1200万円から3000万円に引き上げられています。
対象条件
・贈与を受けた年(贈与年)の合計所得金額が2000万円以下で、贈与年の翌年3月15日まで入居すること
・床面積が50m2以上240m2以下であること、増改築は工事費用が100万円以上であること
2021年12月の契約分まで適用になりますが、非課税枠は2020年度の契約で一般の住宅が1000万円、一定の良質な住宅が1500万円となり、2021年度の契約ではさらにそれぞれ300万円引き下げられることになります。詳しくは下記「贈与税 非課税枠拡大」の案内をご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/common/001157471.pdf
支援策 5:キャッシュレス・ポイント還元―中小業者のリフォームで5%バック
国が消費増税負担軽減策の目玉としている「キャッシュレス・ポイント還元事業」は、小売店舗対象のイメージがありますが、実はリフォームも対象になります。
中小・小規模事業者の店舗でクレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコードなどによるキャッシュレス決済を行うと、支払い金額の5%(フランチャイズ等は2%)を還元するものです。1ポイント=1円相当でポイント還元する方法のほか、クレジットカードであれば料金引き落とし時にポイント相当分を差し引くカード会社もあります。還元するポイントには1ヵ月あたりの上限設定があります。実施期間は来年6月末までの予定です。
リフォームをお願いする会社が「キャッシュレス・ポイント還元事業」を導入していれば、
キャッシュレス決済でポイントの還元が受けられます。詳しくは下記「キャッシュレス・ポイント還元事業」の案内をご覧ください。
https://cashless.go.jp
最後に―安心できる住宅会社選びが重要です
いかがでしたか?
聞きなれない制度も多く、まして住宅を建てるとなると、他にも考えなくてはいけないことや決めなくてはいけないことがたくさんあります。プランや性能面での提案はもちろんですが、こういった住宅取得の支援策などの利用を積極的に進めてくれるような『予算面でのフォローも嬉しい、安心・信頼してお付き合いできる住宅会社』と出会うことこそが、消費税率の引上げ後でも、夢のマイホーム建設を実現する第一歩になるといえるかもしれません。
北海道SHS会ホームページでは、今後も家づくりにかかわるいろいろな情報を定期的にお知らせする予定です。快適な住まいづくりのご参考になさってください。
北海道の住宅価格が高騰!これからは価値ある家を持ちましょう
2019.10.31消費税が10%に引き上げられて、早くも1ヵ月が経とうとしています。あらゆる場面で、さまざまな商品の値上がりをひしひしと感じるようになりましたが、それは家づくりにおいても同じです。
道内の住宅の所要資金額は3256万円
住宅金融支援機構が先日公表した「2018年度フラット35利用者調査」の結果によると、新築・中古の戸建て・マンションを合わせた道内の住宅の所要資金額は3256万円で、前年度比では77万円もアップ。前年度比38万円アップの全国と比べて増加幅は約2倍と、大きく値上がりしていることがわかります。
参考までに、札幌市で4年前に配られていた建売住宅チラシでは、北入りが2,590万円、南入りが2,745万円(札幌市北区屯田エリア)。しかも土地が60坪で、おうちは約40坪!今なら、土地40坪、建物30坪で3,700万円は下りません。たった4年で、札幌の建売価格は1,000万円近くも上がっているのです。
これは建売に限った話ではありません。土地を買って建物を建てる注文住宅や規格系住宅でも同じことがいえます。札幌の戸建住宅価格は、土地+建物で3,500~4,000万円です。数年前までは3,000万円を越すと売れなくなるといわれていましたが、今そのデッドラインは4,000万円に上がっています。
「2018年度フラット35利用者調査」でも、注文住宅(土地代もフラット35で借り入れている場合に限る)では建設費が同比43万円アップの2778万円、土地代が同比30万円アップの1335万円、合計では4113万円。6年連続で上昇しているという結果が出ています。
価格上昇の原因は? 気になる今後は?
こんな短期間に購入者の取得能力が上がったのか、といえばそうではありません。超低金利により月次支払額が抑えられていること、それと購入者の年齢上昇で年収が少し上がっていること。これだけで解決しないので、札幌市内の戸建着工戸数は一時期より減少しています。そして、その分は江別市など近隣の街に流れています。
1990年代のバブル崩壊以降、住宅地などの地価は下がり続け、15年ほど前に底値を記録しました。その後はゆるやかに上がってきましたが、ここ1~2年の上昇ぶりはバブルを思わせます。
土地価格の上昇は札幌だけでなく、帯広市などでも起きています。
出展:世界経済のネタ帳 https://ecodb.net/commodity/crude_dubai.html
住宅価格も価格上昇がハッキリしてきたのは、2012年以降です。住宅価格のほうは、木材などの国際取引価格や、石油価格の動向といった世界情勢にかなり影響されるほか、長距離トラックなどに代表される輸送費・人件費の上昇が原因とされます。今後は、それらに加え、大工さんの雇用形態・賃金見直しも進むのではないかと思います。実は、大工さんの賃金アップは住宅価格にほとんど反映されていません。
となると、住宅価格が上がることはあっても、下がることはないのではないか・・というのが大まかな見方となっています。
これからの家づくりで欠かせない、価値のある住宅
住宅価格が上がり続ける今、「価値ある住宅を購入する」という発想が大切になってくると思います。初期費用が安くても、毎月の光熱費やメンテナンス費用がかさんでしまっては意味がありません。毎月の光熱費負担が軽減され、何十年も長持ちする高性能な家を建てることが今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。
いい家を手に入れましょう!
スマホで窓や照明をコントロール!IoTが北海道の家づくりを変える!
2019.08.31IoTという言葉を知っていますか?
「Internet Of Things」の略で、日本では「モノのインターネット化」とも言います。
家づくりもこのIoTで大きく変わるかもしれません。
最近は、家庭にある照明や給湯器、エアコン、テレビ、玄関ドアや宅配ボックスなどのIoT化が最近注目を浴びています。
どんなメリットがあり、これからどう変わるのでしょうか?
平日のある夜。
「残業で帰宅が遅くなってしまう。子どもが心配だわ」
そんな共働きの家庭・Aさんの家に住宅用IoTが導入されました。
すると、
「あ、子どもが塾から帰ってきてリビングで宿題やっている」という動画がAさんのスマホに送られてきました。
休日の朝。
Aさんの夫がAさん、子どもたちとお出かけします。
「パパ、まだ~」
と声が玄関から聞こえてきましたが、パパは慌てません。
スマートスピーカーに向かって
「行ってきます」と一声かけるだけ。
家じゅうの照明やエアコンなどを一斉にオフできます。
消し忘れもありません。
こんな便利な生活シーンが実現できるのは、(株)LIXILが発売する『IoTホームリンク・ライフアシスト』。スマホやスマートスピーカーという身近な機器を使って家の中の機器をコントロールでき、ドア窓センサや人感センサ、温湿度センサなどと連動し、外出、夜間、在宅など生活シーンに応じて対応する設備機器の動作を自動化できます。
スマートフォンで外出先から玄関ドアの施錠や室内の様子の動画送信、エアコンのオン・オフ、浴槽のお湯張りも可能です。
標準的な初期導入費用として約40万円かかり、このほかにスマートスピーカーとの連携や各種センサーの利用料金として月額1980円(税別)が必要となりますが、一度この便利さを知ってしまうと元に戻れなくなるかもしれません。
朝7時。「あっ、明かり点けなきゃ」。寝坊したBさんんは、慌てますが、ダイニングのペンダントライトは自動的に灯ります。
これは照明器具メーカー・コイズミ照明(株)の『TRee』(ツリー)。
同社の照明、約3000種類と連動させることが可能です。
たとえばキッチンにいて手が水に濡れている時、「リビングの照明、もったいないわ」と思ったら、スマートスピーカーに話しかけるだけで消すことができます。
また、お客様が来てこれからバースデイパーティーで盛り上がろうとするとき、「パーティーのシーン」とスマートスピーカーにコソッと話しかけると、ダイニングの照明がすうっと暗くなる-そんな演出も席を立たずにできます。
共働き世帯や高齢者世帯で採用が進みそう
特に普及の芽があると見込まれているのは、共働き世帯や高齢者・要介護者がいる世帯です。共働き世帯では、子供が学校からちゃんと帰宅したか、室内で安全に過ごしているかどうかが心配になりますが、IoTシステムがあれば、玄関の開閉をセンサーが感知し、室内カメラで撮影した画像をメールで送信するなど、職場にいても子供が無事に帰宅したことがわかります。子供が玄関ドアを解錠するのと連動し、自動的にエアコンや照明を付けることもできます。
高齢者・要介護者がいる世帯では、家族が外出先からスマートフォンで室内の様子を確認できます。また、高齢者・要介護者はスマートスピーカーに話しかけるだけで暖房・給湯や家電・照明などを操作できるので、身体的負担や操作する手間の軽減につながります。
IoTシステムは防犯上でも効果的です。警察庁の統計資料によると、2017年の住宅侵入窃盗のうち47%は玄関・窓の無施錠が原因。IoTシステムを使うことでスマートフォンから玄関ドアが施錠されているかどうかを確認でき、もし鍵をかけ忘れていたとしても外出先から施錠することができます。
IoTシステムはまだ普及が始まったばかり。認知度が高まれば普及が期待できそうです。
住設建材メーカーのIoT対応の動き
住設建材メーカーのIoT関連設備・家電製品等も、新開発や機能強化が目につくようになってきています。
LIXILのほか、パナソニック(株)が昨年10月に住宅向けIoTシステム『HOME IoT』の中核機器・AiSEG2(アイセグ2)の機能を強化して発売開始しました。スマートスピーカーとの連携を可能にするとともに、使用機器数を13社26機器から20社33機器に拡大。業界初となる宅配ボックス用センサーや、前日の天気予報に基づいて太陽光発電から電気自動車への蓄電を制御する機能も加わりました。
また、外出先から玄関ドアの施錠の確認・操作ができるシステムは、LIXILの『IoTホームリンク・ライフアシスト』以外に、YKK AP(株)が今年4月にサービス運用を開始した戸締まり安心システム『ミモット』があります。このシステムは窓や玄関ドアの施錠忘れをIoTで防ぐもので、自宅から一定距離離れた時に鍵を締め忘れている玄関ドア・窓の情報や、子供や家族による玄関ドアの解錠をスマートフォンに通知します。センサーは鍵の操作によって発電・通信を行う技術を利用しているので、電源や配線は不要です。
建材そのものにIoT機能を持たせる
さらに建材そのものにIoT機能を持たせた製品も出てきました。凸版印刷(株)が販売する『ロケーションフロア』と『ステルスヘルスメーター』です。
『ロケーションフロア』は、圧力センサーを組み込んで居住者がいる位置の検出を可能にした床材。高齢者等の見守りを主な用途として想定していますが、カメラを使わないのでプライバシーに配慮でき、居住者にストレスをかけることもありません。圧力センサーは踏まれると自己発電するため、特別な配線工事も不要。『ステルスヘルスメーター』は体組成計を埋め込んだ床材で、洗面所などの日常動線に設置すれば、手洗い時や歯磨き時に体重・体脂肪率などを継続して記録できます。いずれの製品もパソコンやスマートフォンなどに情報を転送して管理することが可能です。
家の中にデジタル機器が増え、独居高齢者も多くなっている中、さりげなく情報を管理・提供する建材が必要になってきています。デザイン性や機能性も備えたIoT機器の開発は今後加速しそうです。
総務省の平成30年版情報通信白書によると、2017年の全世帯に占めるスマートフォン保有率は75%。2010年の10%から大幅に増えており、インターネットの利用も60%がスマートフォンと、パソコンの53%を上回るようになりました。特に20、30代はスマートフォンの保有率が90%を超えており、インターネットの利用も約9割がスマートフォン。
20、30代はちょうど住宅の一次取得者層にもなりますが、スマートフォンとインターネットがもはや当たり前となっている世代だけに、IoTシステムが受け入れられる素地は十分にありそうです。
北海道の土地探しで失敗したくない!
2019.05.20家づくりで大事なのは土地探し。理想のプラン、間取りも、それを建てられる土地が必要です。しかし、この土地探しがとてもたいへん。希望する立地条件と価格が折り合うことはなかなかないのです。
札幌は数年前から土地価格が上昇し、希望する地域の土地を見つけにくくなっています。地下鉄から徒歩5分以内なら3.3m2(1坪)あたり50万円で買えるかどうか、というぐらい値上がりしています。中央区の円山公園付近だと1坪100万円する場合も。JRの駅近辺も価格は上昇しており、1000万円以下の土地を見つけるのはかなり難しくなってきています。この上昇傾向は他の都市圏にもあてはまり、帯広、旭川、北見、釧路、函館などでも希望する条件の土地が見つけにくい状況です。
そうすると、「どこかに安くてお買い得な土地はないだろうか」と探したくなるものです。家電のアウトレット品や、服を季節遅れのセール品で買うように、うまくいかないものかと思う人もいるのではないでしょうか。
残念ながら、土地に関しては「掘り出し物はない」と断言できます。つまり、坪単価を調べて回りの土地よりも「安い!」と思ったら、何かあると考えて間違いないと思います。
価格が安い土地にありがちな理由
○傾斜地、道路と段差がある
150坪(500m2)で600万円。「安い」と思って、土地の図面をよく見たら傾斜地だった・・・ということもあります。傾斜地に家を建てる方法はありますが、基礎部分だけで相当な金額がかかるため、あまり現実的ではないでしょう。150坪のうち、平らな部分は50坪、ということも。
もっとやっかいなのが道路と段差があるケース。道路側に擁壁があって、階段を上らないと家を建てられる平らな土地にたどり着けないケースがあります。この場合、駐車スペースが作れない場合もあります。住宅地には月極駐車場がなかなかないので、結局このような土地は周りよりも大幅に安くなります。
○「土地」と言いながら、実は解体されてない古家が付いている
ネットで土地情報を探していると、安めの物件で見かけるのが、古い家の写真が載っているもの。「土地として販売しているんだから、そのまま家が建てられるのでは?」と思っていると、実はそうとは限らないのです。
なかには、「解体後、更地にした上で引き渡し」と備考欄に書いているものもありますが、「古家付き」とだけ書いている物件も多く、その場合は解体して更地にするには「要相談」などと書いている場合も多いのです。
解体費を自己負担となると、土地の価格に少なくとも150~200万円は別に負担しなければならず、古家が木造でないブロック造などではさらにかかる場合もあります。
○旗竿地になっている
旗竿地というのは、土地全体が旗のような形状で、道路には旗竿の竿の部分、2~4mしか接していません。そのため、土地の評価が下がるため安くなるのです。この場合、竿の部分から車を入れることになります。問題は、この竿の部分は自分で除雪しなければならないこと。また、旗竿地は道路をはさまずに周囲が家に囲まれているため、陽当たりが十分とれるかどうかも注意する必要があります。
○法律で規制がかかっている
たとえば「土砂災害特別警戒区域」。札幌市内の住宅地、地下鉄の駅からバスで10分以内、1坪10~15万円ぐらいの地域で、この規制がかかっているために坪5万円という土地がありました。ものすごくお得なようですが、実はそうではありません。この指定を受けている土地は、土砂災害に遭うリスクが高く、家を建てるときには特別な許可が必要です。土砂が流れ込んで家が押し流されにくいような頑丈な防護壁を建てる必要があるなど、改良費用がかさみます。土地がいくら安くても、トータル金額では通常の土地とさほど変わらない金額になるかもしれません。
○私道部分も土地面積に含まれるため一見広く見える
90坪で980万円。札幌市内では割安な土地と言えます。ところが、土地の図面をよく見ると、幅6mの私道を含んだ広さでした。私道部分の面積を計算して差し引いてみると、家を建てられるのは50坪台の広さ。とすると、別段安くもない、周りの土地と変わらない単価でした。つまり、掘り出しモノでもなんでもなかったのです。
地盤の強弱はさほど価格と関係ないが
意外に思えるのは、地盤の強い弱いは、土地の価格にさほど影響は与えていないこと。ただし地盤が強ければ、杭工事が必要なくなりますので、その分工事価格が安くなります。
とはいえ、2018年9月の北海道胆振東部地震で地盤の液状化被害が大きくクローズアップされました。今後は、強固な地盤の地域は土地価格にプラスアルファの評価が付く可能性もあります。
そうすると、土地を買う前に地盤の強さがある程度わかるとうれしいですね。
地盤の強さはインターネット上でもある程度調べることができます。
たとえば、大地震が来たときに自分の住んでいる地域が震度6弱以上の揺れに見舞われる確率がどれくらいあるかは、J-SHIS map(http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/)でわかります。札幌市内を見ると、見事にJRの南側は確率が低く、北側側は高いことがわかります。JRの線路は、気まぐれに敷かれたのではなく、きちんと考えられていたのでしょう。
さらに自分がほしい土地の地盤が強い地域か知りたいときは、地盤サポートマップ(https://supportmap.jp/)で調べることができます。調べたい住所を入力すると、液状化の可能性、土砂災害の可能性などのリスクが高いか低いかがわかります。ただし、○条○丁目レベルの精度ですので、最終的には地盤調査会社でお金を払って調べてもらうのが確実です。
土地は値引きされることも
最後に、希望の持てる話です。
土地は、場合によっては値引きされることもあります。
もちろん人気の地域であれば、売る側も強気で値引きは考えられないでしょうが、丹念に周りの土地の取引価格などを調べ、相場観がわかるようになれば、値引き交渉をすることも可能です。ただし、交渉の結果拒否されることもあります。
土地の取引価格を調べるには、国土交通省のデータベースシステム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet)を使う方法があります。
登録されている件数はさほど多くないのですが、公示地価も表示されるため、相場の参考にはなります。
自分の予算に合った土地を見つけるのは簡単ではありません。
条件の良い土地は、業者間取引で既に売買されていたりするなど、消費者の知らない間に買えない土地になっていることもあるからです。
でも、じっくり探していると、「これ!」と思える情報に巡りあえることもあります。
土地探しも「縁」なのかもしれません。